日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
澱粉糊液の曳糸性
村山 祐子小林 三智子赤羽 ひろ中浜 信子
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1986 年 33 巻 4 号 p. 274-280

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抄録

濃度2.0~5.0% (w/v),加熱条件80℃, 98℃ 2, 30,90分加熱の馬鈴薯澱粉糊液および濃度5.0% (w/v),加熱条件98℃ 2分加熱のワキシーコーンスターチ,コーンスターチ,小麦澱粉糊液について,レオロメーターを用いた簡便な測定法により曳糸性を測定した.合わせて流動特性,動的粘弾性を測定し,曳糸性との関係を検討し,次のような結果を得た.
(1) 曳糸性は馬鈴薯澱粉糊液が最も顕著であり,ワキシーコーンスターチ糊液でも幾分示された.しかしコーンスターチ,小麦澱粉糊液はほとんど曳糸性がみられなかった.
(2) 馬鈴薯澱粉において,80℃加熱に比べ98℃ 2分加熱糊液では曳糸性が増加し,それ以上の加熱条件についでは一定の傾向は見られなかった.また,いずれの加熱条件においても,澱粉濃度が高いほど曳糸性は増加した.
(3) 馬鈴薯澱粉糊液において,同一加熱条件の糊液では,粘稠性定数K,動的弾性率G',動的粘性率η'が増すほど曳糸性特性値L0は増加した.
(4) 馬鈴薯澱粉98℃ 2, 30, 90分加熱の分散が進んだ糊液において,同程度の動的粘性率η'を示す糊液の間では,緩和時間τが増すほど曳糸性特性値L0は増加した.更に,L0とτ・η'の間にはL0=-1.02+28.6τ・η'の関係式が成立した.

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