1987 年 34 巻 7 号 p. 469-473
カレー製造に比較的よく用いられている香辛料9種について,120℃に加熱した場合の香気成分の変化をガスクロマトグラフィーにより比較検討した.
(1) カルダモン,クローブ,クミンは加熱により主要な成分が増加し,全香気成分量も増加した.
(2) オールスパイス,メースは加熱により全香気成分量が減少したが,その割合は比較的少なかった.
(3) フェネル,シナモン,コリアンダー,フェネグリークは加熱により各成分が大きく減少し,特にフェネグリークはそれが著しかった.
(4) 各香辛料の香気成分は,加熱により増減が見られたが,低沸点化合物量は全ての香辛料で減少が認められた.
(5) 香辛料の種類により,加熱による変化に特徴が見られたことから,製造時においてもこれらの点を充分考慮する必要があると思われた.