プロトプラストの再生は高張剤添加培地で行われるが,枯草菌は高張剤の影響を受ける.アミノ酸マーカー発現可能な条件で,高張剤・コハク酸ナトリウム濃度を検討し,以下の結果を得た.
(1) 枯草菌は,低水分活性に弱く生育しくいため,高張剤添加培地には,カザミノ酸の添加が欠かせない.他方,カザミノ酸はアミノ酸マーカーの発現の障害となる.しかし, 2mg/l以下に制限すればマーカー発現は可能であった.
(2) 桿菌のコロニー出現は,カザミノ酸が十分添加されていれば,高張剤の影響は小であったが,カザミノ酸が制限されると,濃度増加とともに影響が現れた.
(3) プロトプラストの再生は,高張剤濃度0.1M前後で起き始め, 0.16から0.25Mの範囲でピークを形威しだ.ピーク位置,ピーク高さは,カザミノ酸濃度に依存した.
(4) アミノ酸マーカー発現可能な条件,すなわちカザミノ酸1mg/lの場合,最適濃度は0.2Mと結論された.
(5) 上記条件で,枯草菌his要求株とthr要求株間で細胞融合を行ったところ,投入菌数に対し0.20%,再生菌数に対して0.52%の融合率を得た.
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