日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
36 巻, 9 号
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  • 小幡 明雄, 松浦 勝, 福島 男児
    1989 年36 巻9 号 p. 707-711
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    蛋白質の懸濁液である豆乳のSH基を直接測定することを目的に, DTNPをSH基の測定試薬に用い,DTNPとSH基を反応させた後過塩素酸にて除蛋白し,その吸光度からSH基定量する方法を検討した.
    (1) DTNP自身は過塩素酸酸性下で吸収スペクトルに変化はなかったが,反応生成物のNTPは10nm短波長側ヘシフトした.
    (2) 過塩素酸酸性下, NTPの386nmにおける分子吸光係数は17400であり中性下での分子吸光係数に比べ増加した.
    (3) これらの事実をもとに,懸濁液である豆乳中のSH基を直接定量することのできる簡便な方法を確立した.
    (4) 大豆グロブリンを使い除蛋白による影響を調べたところ,定量性にはほとんど影響を与えないことがわかった.
    (5) 豆乳の加熱によるSH基の変化を調べたところ,加熱初期に増加したのち直ちに減少し3分以上の加熱ではほとんど変化が見られなかった.
  • 筒井 知己
    1989 年36 巻9 号 p. 712-719
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    1CW小麦と7種類の油脂を用いて,グルテンと各油脂の結合性,各油脂の製パン性等を検討し以下のような結果を得た.
    (1) ナタネ硬化油,魚硬化油(mp43℃),パーム油は他の油脂にくらべ1CWグルテンへの結合性が強かった.
    (2) ナタネ硬化油,魚硬化油(mp43℃),パーム油の場合, 1CWグルテンに結合した油脂の脂肪酸組成では, Cl6:0, C18:0の脂肪酸の割合が多かった.
    (3) 焼き上げたパンでは,ナタネ硬化油,パーム油,魚硬化油(mp43℃)を用いたパンのローフボリュームが大きく外観,すだちの状況もよかった.
    (4) 各油脂のリノール酸含量とパンのローフポリューム増加量(大豆白絞油を用いたパンのローフボリュームを基準とした)との間には負の相関がみられた.
    (5) 各油脂のグルテンへの結合量とパンのローフボリューム増加量との間には正の相関がみられた.
  • 宮口 右二, 境 久美子, 米倉 政実, 堤 将和
    1989 年36 巻9 号 p. 720-725
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    グロビンのサクシニル化を行って,サクシニル化グロビンを調製し,その性状について検討した.
    (1) グロビンはpH 3.0以下で可溶であり,中性付近(pH 7.0~8.0)で最も低い溶解性を示した.これに対してサクシニル化グロビンはpH 4.0付近で最も低い溶解性を示すが,中性からアルカリ性側では高い溶解性を示した.
    (2) グロビンは硫酸アンモニウム0.1飽和(pH 2.0)で,サクシニル化グロビンは0.4飽和(pH 7.0)で完全に塩析された.
    (3) サクシニル化グロビンの起泡性はグロビンよりも優れていたが,気泡安定性の面ではグロビンよりも劣っていた.
    (4) グロビンはpH 2.0, 4.5, 7.0, 9.0, 11.0という条件下では加熱ゲルを形成しなかったが,サクシニル化グロビンはpH 2.0で明瞭なゼリー状ゲルを形成した.
    (5) グロビンはpH4.0でオボアルブミンの加熱凝集を強く防止した.一方サタシニル化グロビンはグロビンよりも中性に近いpH (pH 6.0)で凝集防止効果を発現した.
  • 佐伯 明比古
    1989 年36 巻9 号 p. 726-731
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    醸造酢の静置発酵法において,酵母によるエタノール発酵と酢酸葭による群酸発酵を従来よりも長期間にわたって並行して進行させるために,生成酢酸濃度が上昇してもエタノール発酵能を失わないような酢酸耐性酵母を検索し,そのような酵母を用いる場合の仕込み配合について検討した.その結果,
    (1) 供試酵母の中ではSaccharomycodes ludwigiiが最も強い酢酸耐性を示した.
    (2) この酵母を使用する仕込み配合は,初発糖濃度10%,仕込み容量に対する接種酵母培養液量と種酢量は,それぞれ5%と10%であった.
    (3) 仕込み初発酸度1%以上でも並行複発酵による食酢の醸造が可能であった.
  • 岡田 憲幸, 秋本 隆司, 真鍋 勝
    1989 年36 巻9 号 p. 732-738
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    プロトプラストの再生は高張剤添加培地で行われるが,枯草菌は高張剤の影響を受ける.アミノ酸マーカー発現可能な条件で,高張剤・コハク酸ナトリウム濃度を検討し,以下の結果を得た.
    (1) 枯草菌は,低水分活性に弱く生育しくいため,高張剤添加培地には,カザミノ酸の添加が欠かせない.他方,カザミノ酸はアミノ酸マーカーの発現の障害となる.しかし, 2mg/l以下に制限すればマーカー発現は可能であった.
    (2) 桿菌のコロニー出現は,カザミノ酸が十分添加されていれば,高張剤の影響は小であったが,カザミノ酸が制限されると,濃度増加とともに影響が現れた.
    (3) プロトプラストの再生は,高張剤濃度0.1M前後で起き始め, 0.16から0.25Mの範囲でピークを形威しだ.ピーク位置,ピーク高さは,カザミノ酸濃度に依存した.
    (4) アミノ酸マーカー発現可能な条件,すなわちカザミノ酸1mg/lの場合,最適濃度は0.2Mと結論された.
    (5) 上記条件で,枯草菌his要求株とthr要求株間で細胞融合を行ったところ,投入菌数に対し0.20%,再生菌数に対して0.52%の融合率を得た.
  • 石井 現相, 西條 了康, 永田 雅靖
    1989 年36 巻9 号 p. 739-742
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    ダイコンの主要な芥子油配糖体(4-メチルチオ-3-ブテニルグルコシノレート, MTB-GSL)は,利用加工上,重要な化学成分である.そこで,日本のダイコン慣行栽培条件下でのMTB-GSL含量の品種間差異を明らかにするため, 1986年と1987年の2年間, 20品種を晩夏まき秋採りしてGC法で定量した.
    MTB-GSL含量の全品種の範囲及び平均値はそれぞれ, 345~42μmol/100gFW, 210μmol/lOOgFWであった.一方,全GSL含量の全品種の平均値は259μmo1/100gFWであった.金GSL含量に占めるMTB-GSL含量の割合は全品種の平均で約80%であった.栽培年次を異にする試料ダイコンの間のMTB-GSL含量の間には正の相関があった.
  • 高間 総子, 出和 守, Gang Hee HAN
    1989 年36 巻9 号 p. 743-747
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    生食用ハウス栽培小松菜,品種みすぎと従来の露地もの,品種丸葉,城南小町の品質,成分調査及び貯蔵試験を行なった.
    (1) 糖は生食用に少なかった.グルコースが最も多く含まれ,次に多いのは生食用でシュークロース,露地ものではフルクトースであった.
    (2) ビタミンCは生食用に少なく,貯蔵中の減少も顕著であった. (3) 遊離アミノ酸は, Asp., Ala., Glu.が多く含まれ,特に生食用にGlu.が多かった. 7℃貯蔵により総量, Glu., Asp., Ala,量は漸増を示した. (4) 官能評価では,生食用は色沢が好まれ,甘味と固さは好まれなかった.生食用は煮食するより生食する方が好まれた.
  • 青木 清隆, 原 房雄, 大道 学, 中谷 登, 保坂 秀明
    1989 年36 巻9 号 p. 748-753
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    二軸型エクストルーダーで魚肉すり身を処理し,繊維状の組織化製品が得られた.魚肉すり身のような高水分系の水産加工品は,従来,加熱すると熱変性して,エクストルージョンクッキングでは溶融しないと思われていたが,低水分に水分調整することによ参溶融して再構成し,繊維状の組織化製品をつくることに成功した.
    エクストルダーの操作条件は,予備操作により原料すり身の含有率を1.5~2.0(dry base)として供給量30kg/h,スクリュー回転数150rpm,バレル温度160~180℃で,ダイを冷却して得なった.得られた製品は可視的にも明らかに繊維性の組織性状が認められ,物性を測定すると押し出し方向に強い方両性があった.また,顕微鏡での観察でも繊維状の組織が確認された.
  • 六車 三治男, 林 亮全, 伊藤 肇躬
    1989 年36 巻9 号 p. 754-761
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    大豆蛋白質の肉製品への有効利用に関する技術を改善するため,大豆蛋白質と筋肉蛋白質であるアクチンおよびα-アクチニンとの相互作用について遠心法および粘度測定法により検討した.その結果,大豆蛋白質は25℃中性(7.5)および弱酸性(5.5)のpH条件下でF-アクチンに結合することができた.しかし,中性および弱酸性のpH条件下で,大豆蛋白質とα-アクチニンとの相互作用は認められなかった.F-アクチンにα-アクチニンが結合することは良く知られているが,中性のpH条件下では大豆蛋白質の存在に関わりなくそれらの結合量に変化は認あられなかった.しかし,弱酸性のpH条件下では大豆蛋白質が存在しない場合にF-アクチンに結合するα-アクチニンの量は大豆蛋白質が存在する場合よりもかなり多かった.α-アクチニンはF-アクチンを架橋結合することによりF-アクチン溶液の粘度を増加させるが,大豆蛋白質の添加はα-アクチニンの作用に影響を及ぼさなかった.
  • 伊東 哲雄, 菅原 悦子, 宮ノ原 順一, 櫻井 米吉, 小田切 敏
    1989 年36 巻9 号 p. 762-764
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    窒素源として種々のアミノ酸を含む液体培地に,市販のBacillus nattoを培養し,ピラジン類生成に対する影響を調べた,添加アミノ酸の中でL-スレオニンが最高のピラジン類生成を示し,同じヒドロオキシアミノ酸のL-セリンがこれに次ぐ収量であった. L-スレオニン培養では2, 5-ジメチルピラジンが著しく多量(80%以上)であり, L-セリン培養ではテトラメチルおよびトリメチルピラジンが主成分であった.
  • 蔡 震寿, 山田 耕路, 村上 浩紀, 大村 浩久
    1989 年36 巻9 号 p. 765-768
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル オープンアクセス
    多糖類アルギン酸ナトリウム,キサンタンガム及びκ-カラギーナンが分離大豆タンパク質乳化物のテクスチャー特性に及ぼす影響を調べた.タンパク質と多糖類の混合液の粘性についてはκ-カラギーナンを添加した場合に最大値が得られた.テタスチャープロファイル解析結累はScheffe'の三成分実験計画法に従い,三つの多糖類の混合比の変化が乳化物のテクスチャー特性に及ぼす影響を検討した.特性値の変化は得られた推定曲線で示されるが, κ-カラギーナンが乳化物のテクスチャー特性に最も大きな変化を与えることを見出した.
  • 岡井 秀雄, 田村 正宏
    1989 年36 巻9 号 p. 769-776
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • その製造と消費
    谷口 良平
    1989 年36 巻9 号 p. 777-784
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 1989 年36 巻9 号 p. A43-A47
    発行日: 1989/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
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