日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
納豆菌レバンスクラーゼによるラクトスクロースの生成とその酵素の諸性質
高浜 昭博久世 次郎岡野 智子秋山 恭子中根 俊恵高橋 裕司小林 猛
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1991 年 38 巻 9 号 p. 789-796

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抄録

B. natto No. 7のレバンスクラーゼによるラクトスクロースの生産について検討した.また本酵素を硫安沈澱,疎水クロマトおよびイオン交換クロマトグラフィー等により精製し,その性状を明らかにした.
(1) 本酵素の分子量は,SDS-PAGEより約55kDaであった.また等電点電気泳動よりpIは4.9であった.
(2) 本酵素の性状は,至適pH 6.0~6.2,最適温度35℃を示し,活性はpH 5.5~7.0および35℃以下で安定であった.
(3) 本酵素のスクロースおよびラクトースに対するKmは,それぞれ0.21Mおよび0.42Mであった.また,ピンポン型の反応機構で反応初速度は整理できた.
(4) ラクトスクロースの収量は,各250mMのスクロースおよびラクトースの混合溶液で反応させた場合,30~32%であった.
(5) ラクトスクロースの生成過程のシミュレーションを行った結果,フルクトースが実測値からずれた.これはフルクタンの生成に起因するものと推定された.
(6) ハイドロキシアパタイトに固定化したレバンスクラーゼの至適温度は約15℃高温側にシフトした.
(7) 固定化酵素によるラクトスクロースの生産を検討した結果,もとの酵素に比較してその収量は低下した.一方,レバンの生成量は,固定化酵素の方が多かった.

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