日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ゼラチンゲルの物性に及ぼすキトサン添加の影響
(第1報)ゲル強度と添加処方との関係
市川 朝子荒木 千佳子中島 利誠島田 淳子
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1992 年 39 巻 10 号 p. 894-900

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抄録

ゼラチン濃度2~5%,アスコルビン酸およびりんご酸2%水溶液中へ分子量の異なる4種類のキトサン(A:分子量20~30万, B: 4~6万, C: 1~3万, D:約2000)を0.25~1%濃度で添加し,調製したゲルについて,強度や保水性の物性変化を検討した.
(1) ゲルの破断応力-破断歪に対して,ゼラチン濃度と共にキトサンの種類の影響が明らかにされ,分子量の小さいキトサンDの添加の場合に,両者の物性パラメーター値が共に増大し,ゼラチンーキトサン間の相互作用により,強靭なゲルを形成することを示唆した.
(2) ゼラチン2%でアスコルビン酸溶液を用いて調製したゲルのクリープ測定による粘弾性の解析で,添加量の増大に伴い,キトサンAでは弾性率の上昇傾向を,一方,キトサンB, CおよびDでは粘性率の低下傾向を示した.
(3) ゲルの離漿率に関しては,キトサンの種類として分子量の大きいものほど低減の効果がみられ,ゼラチン濃度5%でキトサンA 1%をアスコルビン酸溶液に加えた場合には,離漿率は約1%まで抑えられた.

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