日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
高濃度クリームの製造法とその性質
川成 真美岡本 清孝福島 正義
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1992 年 39 巻 3 号 p. 219-226

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抄録

新たな乳脂肪原料として,高濃度クリームの製造法を検討し,併せてその性質についても検討した.
(1) 分離機入口および出口にオリフィスを設置し,脂肪球凝集と濃縮を促進させることにより,全固形分を4%上昇できた.また温度,圧力および原料クリーム脂肪濃度を要因とする実験結果から最適分離条件を把握した.
(2) 自己蒸発による水分調整, 1次冷却および高濃度クリーム中の気泡除去を目的としてバキュームクーラーを製作し,良好な結果を得た.
(3) 2次冷却機として温和な掻取式熱交換機を導入し,高濃度クリームの転相と冷却温度および掻取羽根回転数の関係を明らかにした.
(4) 高濃度クリームの特性では冷却固化すると自然転相状態になることや,融点が液体脂を取り込んで無塩バターより低くなることなどを明らかにした.また,W/O系では溶解するのに困難な水溶性物質を簡単に溶解することができ,新規な乳脂肪原料として考えられた.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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