日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
サクシニル化グロビンゲルの性状について
宮口 右二米倉 政実堤 将和
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 39 巻 3 号 p. 271-275

詳細
抄録

豚血液のグロビンをサクシニル化してサクシニル化グロビンを調製した.得られたサクシニル化グロビンはゲル形成能を有していたので,そのゲル形成の条件ならびにゲル特性について検討した.
(1) サクシニル化グロビンは, 5%以上の濃度, pH2.0以下で加熱するとゲル化した.加熱温度80~90℃で高い破断強度が得られた.
(2) サクシニル化グロビンゲルの破断強度は,グルコース,サッカロース,クエン酸,酢酸,寒天などの添加物の添加によって著しく増強されたが,ゼラチンや塩類の添加はサクシニル化グロビンのゲル化を抑制した.
(3) サクシニル化グロビンゲルは, 30℃,酸性域(pH5.0)で安定であったが,アルカリ性域(pH 9.0)では容易に溶解した.なお,酸性域で沸騰水中に放置した場合,ゲルは崩壊したが,溶解することはなかった.上記添加物の添加は,同じ条件下でサクシニル化グロビンゲルの安定性を増大させた.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top