日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
練りアン中のアン粒子の崩壊,損傷に及ぼす製造工程の影響
釘宮 正往
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 39 巻 3 号 p. 276-280

詳細
抄録

製アン工程とアン粒子の構成との関係を明らかにする目的で,まんじゅう用小豆練りアンの製造工程がアン粒子の崩壊,損傷に及ぼす影響について調査・研究した.自家製アンを行っている製菓会社4社から入手したアン試料及び原料小豆を用いて,次の結果を得た.
(1) 1社のアン試料を用いて調査した結果,崩壊粒子及び損傷粒子の割合はいずれも,煮熟,磨砕・篩別け,水晒し,脱水の各工程によってほとんど増加しないか,増加してもわずかであったが,練り工程によって著しく増加した.
(2) 練り工程による崩壊粒子,損傷粒子の増加割合(水晒し後の脱水試料を基準)は, 4社の5試料の平均(範囲)で,それぞれ160 (60~500)%, 150 (30~230)%であった.試料や原料によって程度に差はあるものの,概して,練り工程でアン粒子は崩壊,損傷し易いことが分かった.
(3) アン粒子の構成と練り機及びその撹拌機構との関連は見いだせなかった.
(4) 原料小豆で調製した煮豆中の崩壊粒子,損傷粒子の割合はいずれも少なかった.
(5) これらの結果から,練り工程でのアン粒子の崩壊,損傷は,温度,時間,撹拌速度,水分,砂糖の配合割合などの練りを行う時の諸条件で影響されるのではないかと考察した.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top