1994 年 41 巻 1 号 p. 48-50
植物細胞壁の構造タンパク質であるGRPが大豆種皮に多いと推定されるので, GRPの大豆種皮および付随組織内分布と組織から分離したGRPの特性について調べた.三つの部位,棚状層および砂時計型細胞,海綿状組織,アリューロンおよび胚乳層に分けると,グリシン含有率はアリューロンおよび胚乳層で高く約37%を示し,他の部位では非常に低かったので, GRPは種皮ではなくアリューロンおよび胚乳層に存在するにとが示唆された.アリューロンおよび胚乳層のGRPは4℃ではアルカリおよび酸溶液のどちらにも抽出されないが, 80℃以上の熱水では効果的に抽出された.また熱水抽出残渣にも相当量のGRPが残存すると考えられるので,熱水で可溶化したのは細胞壁のGRPの一部であると推定される.熱水抽出画分をSephadex G-100でゲル濾過すると,約50%のグリシンと約13%のセリンを含むGRPが分離された.このGRPの推定分子量は約30kDaで