日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
近赤外分光法によるタンパク質の定量測定に対するタンパク質の二次構造の影響
山下(上敷領) 広美多々良 恵高村 仁知的場 輝佳
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1994 年 41 巻 1 号 p. 65-69

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抄録

近赤外分光法によるタンパク質含量の測定を様々な種類のタンパク質に適用するために,種々のタンパク質およびポリペプチドを用いて,ペプチド結合に由来する2170nmの吸収特性について検討した.ペプチド結合数と2170nmの吸収強度との関係を比較した結果,ペプチド結合当たりの相対吸収強度には,タンパク質の種類により差がみられた.次に,牛血清アルブミンのS-S結合を還元して変性させると, 2170nmの吸収強度が弱くなった.また, pHを変化させることによりポリ-L-グルタミン酸の二次構造を変化させた場合も, 2170nmの吸収強度が変化した.このことから, 2170nmの吸収強度は二次構造により影響を受けると推測されたりそこで,二次構造既知のタンパク質を用いて,二次構造含量と2170nmの吸収強度との関係を統計的に解析した結果, α-ヘリックス, β-構造,ランダム構造は, 2170nmの相対吸収強度に対してそれぞれ2:1:1の割合で寄与することが明らかとなった.

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