日本食品科学工学会誌
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ホタテガイ合成エキス中のアルギニンの苦味抑制成分の同定
道川 恭子鴻巣 章二
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1995 年 42 巻 12 号 p. 982-988

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抄録

ホタテガイ貝柱(閉殻筋)の合成エキス中には,苦味アミノ酸といわれているArgが閾値を大幅に超える濃度で含まれているにもかかわらず,そのエキスはほとんど苦味を呈さない.これはエキス成分中にArgの苦味を抑制する成分が存在することによると考え,有効成分の同定を試みた.得られた結果を要約すると次のとおりである.
1) まず,ホタテガイに含まれる濃度とほぼ同じ濃度のArg溶液(300mg/100ml)の味質を調べ,甘味を伴う強い苦味を呈することを確かめた.また,その濃度が低くなると苦味に対する甘味の相対的強度が高くなり,濃度により味質が変ることが分った.
2) ホタテガイの呈味に重要とされている8成分よりなる合成エキスを用いてオミッションテストを行い,Argが苦味を与えないことを確かめた.
3) Argへの他成分の添加および他成分へのArg添加の2種類のアディションテストを行った結果,Argの苦味抑制にGlu, AMPおよびNaClが有効であり,なかでもNaClの効果が最も大きいことが判明した.

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