1996 年 43 巻 11 号 p. 1183-1189
マイクロ波が偏平円筒型食品モデルの側面に照射される場合のモデル食品内の熱移動について,理論及び実験による検討を行い,以下の結果を得た.
偏平円筒型食品内の温度分布はそれらの半径によってかなり変化し,半径が大きくなるのに従い,その内部の高温領域は中心部から周辺部へ移動することが分かった.これは,マイクロ波が曲面で屈折し中心部で集中が起こる効果と,マイクロ波が試料内で熱に変換されて減衰する効果の大小によって説明できた.また,マイクロ波の試料表面での屈折を考慮した数学モデルによる計算結果と実測値は良好に一致し,上記の現象を定量的に説明できた.