日本食品科学工学会誌
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かつお節焙乾工程へのヒートポンプの応用
鈴木 敏博本杉 正義田村 正志
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1996 年 43 巻 8 号 p. 923-929

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抄録

かつお節焙乾の前期,中期は香りの付与や酸化防止力付与などに重点をおき,後期は乾燥に重点をおく新しいかつお節の製造方法の確立を目指した.その結果,ヒートポンプを利用する乾燥工程を確立した.
1) 従来方式ではかつお節ができるまで焙乾を9回行っていた.ヒートポンプを使った新焙乾法では,焙乾を5回行った後ヒートポンプ乾燥機により48時間連続乾燥しかつお節を製造した.温度,湿度条件は,50℃で最初の12時間は湿度80%,次の12時間は75%,さらに次の24時間は湿度70%である.その結果,製造日数を17日から9日へと短縮できた.
2) ヒートポンプ方式で製造したかつお節は,水分が均一化され,香味も従来方式と大差はなく,削り花やエキスの色調も良好であり品質的に優れていた.
3) 水分の均一化が達成できたことで荒節の歩留まりが向上した.また,かつお節の外周部が過度に乾燥することなく,削り時の削り花の崩壊が少なくなり,削り節の歩留まりが向上した.歩留まりの向上は大きな経済的効果をもたらした.
焙乾後期のあん蒸が不必要となって,乾燥庫へのかつお節の出し入れ操作がなくなり大幅な省力化となった.
また,薪の使用量は,約30%削減できた.

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