日本食品科学工学会誌
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市販乾燥マッシュポテト中の細胞粒子の崩壊・損傷
釘宮 正往伊藤 知子
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1996 年 43 巻 8 号 p. 946-950

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抄録

市販の乾燥マッシュポテト3製品を用いて,顕微鏡観察およびα-アミラーゼ処理によるデンプンの溶解率から細胞粒子の崩壊・損傷について検討した.顕微鏡観察の結果から,崩壊粒子の割合はいずれも2%以下と推定された.酵素処理によるデンプンの溶解率は加える酵素量および処理回数に依存しており,0.01単位の酵素を加えた場合は8~16%と低く,1単位の酵素を加えた場合は58~82%と増加した.1単位の酵素を用いて酵素処理を2回行うと,溶解率は70~98%とさらに増加した.これらのデンプンの溶解率は主として損傷粒子の割合およびその中に存在するデンプンの存在状態を反映すると考えられた.これらの結果から,市販の乾燥マッシュポテトの細胞粒子の構成は,製品によって差はあるものの,いずれも崩壊粒子の割合は2%以下とごくわずかであり,損傷粒子の割合は70~98%と大部分を占め,完全粒子の割合は2~30%であると推定された.

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