日本食品科学工学会誌
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ランシマット法によるフロキシンとβ-カロテン添加油の酸化安定性試験
梶本 五郎山口 真季中村 光広
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1996 年 43 巻 9 号 p. 1054-1058

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抄録

フロキシン(食用赤色色素104号)とβ-カロテンの油脂の酸化に及ぼす効果についてランシマット法(導電率を利用した測定法)とオーブン試験とで比較検討した.
(1) オーブン試験では,フロキシン添加オリーブ油,大豆油,鯨油のいずれもそれらの無添加油に比べて過酸化物の増加割合が高く,逆にβ-カロテン添加ではいずれの油脂も低かった.
(2) ランシマット法で求めたオリーブ油,大豆油,鯨油の誘導時間(変敗点)は6.15, 3.03および0.87hであった.誘導時間からみた油脂の酸化安定性はオリーブ油が最も高く,ついで,大豆油,鯨油の順であった.
(3) フロキシンの添加で各油脂の誘導時間は早められ,β-カロテン添加で延長された.すなわち,フロキシンおよびβ-カロテンによる油脂の酸化促進性および防止性は,オーブン試験と同様,ランシマット法でも認められた.

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