日本食品科学工学会誌
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加工プロセスにおける非接触電導度自動計測システムの開発
乙部 和紀杉山 純一
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1997 年 44 巻 3 号 p. 205-212

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抄録

ラジオ周波数(RF)領域の交流電磁場による電解質溶液中でのエネルギー損失特性を利用して,試料の比電導度に対応する指標を試料に非接触で自動測定するシステムを考案した.本システムは空芯ソレノイドコイルとLC発振回路,発振強度および周波数の制御・測定用コンピュータから構成されている.比電導度の指標として,発振状態にあるコイルの内部に試料をいれた際に生じる発振強度の変化量を用いた.樹脂製試験管のまま測定する回分測定用セルおよびインライン計測用フローセルを作製し,本システムの比電導度-発振強度特性を調べた.流路径,コイル径,コイル長(巻数)の異なるセルについて,塩化ナトリウム水溶液を用いて上記特性を調べた結果,発振強度が極小となる比電導度は流路径の対数に比例することが判明した.また,極小点でのピークの大きさはインダクタンス(コイル断面積と巻数の積)の減少にともなって増大する傾向のあることが明らかとなった.以上の結果をもとに,微生物量モニタリングへの応用実験として,フローセルを用いたBacillussubtilis AR 42株の増殖状態の観察を行った.菌体量の指標として培地の吸光度を用い,採取した培地の発振強度変化との対応を調べた結果,本システムにより培養初期から対数増殖期における菌体量変化を観察することができることが示された.

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