日本食品科学工学会誌
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コンニャク粉の精製に及ぼす超音波照射の効果
木村 友子菅原 竜幸福谷 洋子後藤 真彦
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1997 年 44 巻 8 号 p. 552-559

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抄録

蒟蒻粉の精製法の簡易化・迅速化・精粉の脱臭を目的にアルコール沈殿精製法を一部改良し,精製過程に超音波照射を導入したモデル実験を試み,その精粉の理化学的性状と嗜好に与える影響を検討し,次の結果を得た.
(1) 超音波照射を導入した本精製法は対照のアルコール沈殿法より蘭弱粉の品質改良に優れていた.
(2) 好適な精製条件は抽出水温40℃設定,照射時間は15分間が良好で,蒟蒻粉の歩留りは90%程度であった.この精粉は対照の無照射のものに比し白色度が高く,ゲルはアミン類と思われる区分の臭気物質が著しく緩和され,品質改良が認められた.
(3) 蒟蒻ゾルの流動特性はレオペクシーの挙動を示し,15分間照射した精粉ゾルではみかけの粘度は処理前ゾルより高いが,キャソン降伏値は若干小さく変形しやすいソフトなゾルとなった.このゾルを35℃で6時間保存した場合でも粘度を維持し安定であった.
(4) 官能検査では照射15分間の精粉ゲルは蒟蒻臭やえぐ味が少なく,経口時に口溶けが良く,おいしく感じ高い評価を得た.

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