日本食品科学工学会誌
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梅酒の抗酸化性と抗酸化物質の単離と同定
白坂 憲章暮松 亜紀金銅 信之金銅 俊二飯田 雅弘長谷川 豪宏村上 哲男吉栖 肇
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1999 年 46 巻 12 号 p. 792-798

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抄録
梅酒より抗酸化活性を指標に化合物の単離を行い,単離された化合物について抗酸化活性の評価を行い以下の結果を得た.
(1) 梅酒より酢酸エチルを用いて抽出を行うことにより,抗酸化活性を示す抽出物を得ることができた.梅酒の酢酸エチル抽出物は溶媒分画,各種クロマトグラフィーを用いて単一に精製され,各種機器分析の結果,ニレ科に報告のあるリグナン類Lyoniresino1と同定された.
(2) Lyoniresinolの抗酸化活性をα-トコフエロールと比較した結果,反応72時間までほぼ同程度リノール酸の酸化を抑制した.
(3) 各精製ステップにおいてLyoniresinolを含む画分以外にも同程度の抗酸化活性を示す画分が複数認められたため,梅酒全体の抗酸化活性はLyoniresinolの含量から予想されるよりも強い活性を有する可能性がある.
以上の結果より,梅酒を日常的に飲用することにより,生体の過酸化が抑制され,何らかの健康増進作用が得られると考えられる.
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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