日本食品科学工学会誌
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タンパク質の除去が精米粉の膨潤度と溶解度に与える影響
平 俊雄庄司 一郎
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2000 年 47 巻 8 号 p. 638-641

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抄録

タンパク質含量の多い米は吸水が妨げられ食味は劣る.植物タンパク質は溶媒溶解性によりグルテリン,プロラミンなど4種に分けられ,米ではプロラミンはプロテインボディIに,グルテリンはプロテインボディIIに集積し,プロテインボディIの割合が小さな品種は食味が良いとされる.一方,膨潤度は米粉の吸水を示す指標であり,食味の良い品種は米でんぷんの膨潤度が高い.本試験では溶媒などによるグルテリンとプロラミンの除去が精米粉の膨潤度などに与える影響を検討した.ペプシンによるグルテリンの除去が精米粉の膨潤度と溶解度に与える影響は認められなかった.一方,プロパノールによるプロラミンの除去が精米粉の溶解度に与える影響は認められなかったが,プロラミンの除去で精米粉の膨潤度は高まった.したがって,プロラミンは吸水を制限し精米粉の膨潤を抑制していると考えられる.

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