日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
キントキマメおよびフクシロキントキマメからのα-アミラーゼインヒビターの性質とサブユニット構造
澤田小 百合竹田 由里金森 正雄田代 操
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 48 巻 9 号 p. 671-676

詳細
抄録

キントキマメ,フクシロキントキマメより,水抽出,硫安塩析,DEAE-Sepharose FFイオン交換クロマトグラフィー,Sephacryl S-200HRゲルろ過にて電気泳動的に均一なα-アミラーゼインヒビター,KAIとFAIを精製した.
KAIとFAIの諸性質は類似しており,等電点が4.6と4.5,糖含量が16.9%と14.7%,分子量は共に45000±5000であった.SDS電気泳動では,両者共分子量約14000~20000の範囲に4本のバンドが観察され,両AIは複数のサブユニットから構成されていることが示された.なお,両インヒビターにはシステインが存在しないことから,これらサブユニット間にはS-S結合以外の相互作用が働いていることが推定された.
変性KAI, FAIを8M尿素存在下でゲルろ過HPLCを行い,それぞれ分子量の異なるIとIIのタンパク質画分を分離した.アミノ酸組成は,それぞれのAIのI及びIIどうしが類似していた.一方IとIIの比較ではアラニン,メチオニン,イソロイシン,アルギニン,バリン,リジンの含量が著しく違っていた.アミノ酸配列分析から,KAI, FAIは共にIがセリン,IIがアラニンをN末端とする2種類のサブユニットより構成されていることが示された.また,N末端より20残基までの配列は互いに一致していた.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top