日本食品科学工学会誌
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市販かまぼこの物性と低真空走査型電子顕微鏡観察による微細構造の比較
森岡 克司Mohammed Ismail Hossain松井 武史久保田 賢伊藤 慶明
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2002 年 49 巻 7 号 p. 447-453

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抄録

市販のかまぼこ4種の物性を測定するとともに,低真空走査型電子顕微鏡(N-SEM)により微細構造を観察した.
(1) 焼き板かまぼことさしみかまぼこでは,水分含量に差はないが,物性は異なっており,また焼き板かまぼこでは,N-SEM観察により三次元網状構造が認めら.一方,さしみかまぼこでは,網状構造は認めらず,全体的に滑らかであった.
(2) 焼き板かまぼこでは,試料2に比べてジェリー強度が高く,水分含量が低い試料1でより細かい網状構造が観察され,さしみかまぼこでも同様に試料4に比べてジェリー強度が高く,水分含量が低い試料3でより滑らかな構造をしていた.
(3) 表面側と板側とを比較するとすべての試料において板側で破断強度・凹みともに高く,また水分含量が低かった.
(4) 微細構造については,焼き板かまぼこで表面側に比べて板側でより細かい網状構造が観察され,さしみかまぼこでは,表面側に比べて板側でより滑らかであった.
以上の結果から,かまぼこの物性には,その微細構造の差が影響しており,その差は水分含量とともに製法の違いが関与しているものと推察した.

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