日本食品科学工学会誌
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挿入配列(IS4Bsu1)を利用した納豆菌株KA-145判別法の確立
稲垣 秀一郎土門 英司斎藤 彰芥川 浩志
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2003 年 50 巻 10 号 p. 483-487

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抄録

(1) IS4Bsu1遺伝子のサザンブロット解析により,KA-145株と他菌株との間にはバンドパターンの相違があった.また,KA-145株には少なくとも8コピーのIS4Bsu1の挿入が確認された.
(2) iPCR法を用いて,KA-145株に存在するIS4Bsu11コピーの近傍の染色体領域をクローニングし,塩基配列を決定した結果,このIS4Bsu1bmr遺伝子に挿入されていることが分かった.
(3) bmr遺伝子内の挿入部位を挟む領域にプライマーを設計し,PCR反応を行った結果,KA-145株では1.7kb,他菌株では0.3kbの断片を確認し,KA-145株と他菌株を識別した.また,検出感度を調べるため,競合PCRを行なった結果,KA-145株DNAに対して10-4のA株DNAの混入が検出可能であることが分かった.
(4) 納豆調製液から直接PCRを行ない,KA-145株を用いて製造した納豆"健康の糸"では1.7kb,通常の用途に使用される菌株を用いて製造した納豆"お城納豆マミ"では0.3kb,また,他社市販製品(A,B)では0.3kbのバンドを確認し,製品に使用した菌株がKA-145であることを判別した.

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