日本食品科学工学会誌
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α-アミラーゼ活性の粳米と糯米の比較および糊化粘度への影響
松倉 潮鈴木 保宏岩井 陽子門間 美千子青木 法明金子 成延
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2004 年 51 巻 10 号 p. 554-558

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抄録

(1) 品種・系統,栽培地,産年の異なる粳米品種76点,糯米品種23点について,玄米中および白米中のα-アミラーゼ活性を測定した結果,玄米中の活性では粳米品種と糯米品種の群間の差は認められなかった.
(2) 玄米において,粳米品種とそれぞれの糯突然変異系統の間には,α-アミラーゼ活性に違いは認められなかった.しかし,RVA測定の最高粘度は粳米品種で高く,糯突然変異系統で低かった.
(3) α-アミラーゼ活性と最高粘度の両測定値の対数の間には,直線関係が得られたが,粳米品種と糯米品種では回帰式が異なった.
(4) 糯米澱粉の最高粘度は,粳米澱粉と比較して低く,α-アミラーゼの作用による最高粘度の低下程度が大きかった.
(5) 以上の結果より,玄米粉において糯米の最高粘度が粳米より低いのは,糯米中のα-アミラーゼ活性が高いからではなく,α-アミラーゼの作用の粘度への影響が糯米の方が現れやすいからであると結論された.

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