2026 年 2 巻 1 号 p. 314-323
[背景]即時型⾷物アレルギー児では、腸管過敏や腸管透過性亢進を背景に、情緒不安定や落ち着きのなさなどの精神・⾏動症状を呈することがあり、栄養精神医学の視点による⾷事調整が有効となる場合がある。
[症例]学童期男児。乳幼児期より多種類の即時型⾷物アレルギーを有し、腹痛、不安感、感覚過敏、落ち着きのなさ、頻回の発疹・⼝内炎を認めていた。休校期間中の⾃然な⾷事変化を契機に⼩⻨・乳製品摂取が減少し、腹痛は数⽇で消失、数週間で情緒の安定を認めた。その後、グルテン・カゼイン制限、⾼タンパク⾷、ビタミンD・亜鉛・ビタミンB 群・グルタミン、プロバイオティクスを段階的に導⼊した。亜鉛値が改善し、尿中有機酸検査で⾼値であったアラビノースも低下した。WISC-IVでは全検査IQ が上昇し、⾔語理解および知覚推理の改善が顕著であった。
[結語]単⼀症例であり因果関係を断定するものではないが、アレルギー体質や腸管機能の脆弱性を有する⼩児において、⾷事調整と適切な栄養介⼊が情緒・⾏動上の困難の軽減および⼼理検査指標の改善を⽀援し得る可能性が⽰唆された。