2026 年 2 巻 1 号 p. 390-394
[背景]⼩腸内細菌異常増殖症(SIBO)は腹部症状に加え、鉄・亜鉛・ビタミンD 不⾜を介して精神症状を伴うことがあり、その疾患概念の理解は臨床医にとって重要である。
[症例]42 歳⼥性。腹痛・⾷後腹部膨満感・便秘が1 年持続し、不眠と抑うつ気分を合併した。精査で器質的異常なく受診し、初診時フェリチン7 ng/mL、亜鉛74 μg/dL、25(OH)D 15.6 ng/mLであった。低FODMAP ⾷を導⼊し、H2 ブロッカーを中⽌、ウルソデオキシコール酸600 mg/⽇を開始し、カルボキシマルトース第⼆鉄500 mg を2 回静注、ポラプレジンク150 mg およびビタミンD 2,000 IU/⽇を追加した。腹部症状が先⾏して軽減し、約半年で不眠と抑うつ気分の消失を認め、フェリチン55 ng/mL、亜鉛84 μg/dL、25(OH)D 31.5 ng/mL へ改善した。
[結論]腹部症状に精神症状を伴う症例においては、SIBO を鑑別に挙げ、栄養関連指標を評価したうえで、⾷事調整および栄養素⽋乏の是正を含む栄養精神医学的介⼊を検討することの重要性が⽰唆された。