オレオサイエンス
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総合論文
酸素4電子還元が駆動する物質変換
山元 公寿
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2001 年 1 巻 2 号 p. 147-156,226

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抄録
酸素4電子還元反応は我々の生命を司る呼吸反応であり, 体内ではチトクローム酸化酵素 (呼吸酵素) がいとも簡単に常温常圧の温和な条件下, 中性雰囲気で酸素分子に4電子と4プロトンを受容させて水へ変換させている。この反応の再現は単に生命の機構解明に留まらず, 新機能材料創製のための新触媒にもつながる。しかしながら, 4電子還元系の構築手段が未だ曖昧である上, これを物質変換へ組み込むの方法が確立されていないのが現状である。近年ポルフィリンの多核錯体や高分子錯体を電極触媒として用いた酸素4電子還元系の達成した例が報告されている。物質変換系に持ち込み, 酸素原子が取り込まれることなく4電子還元により水を生成する反応により駆動する物質変換は, 近年, 簡便で大気開放系で実施できる省エネルギーでクリーンないわゆる環境合致型の合成反応として注目されるようになってきた。
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© 2001 公益社団法人 日本油化学会
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