オレオサイエンス
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1 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総合論文
  • 湯浅 真
    2001 年1 巻2 号 p. 131-137,225
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    バイオミメティックテクノロジーとしてヘムタンパク質系の展開について総説する。特に, i) ヘモグロビンやミオグロビンを模倣した酸素運搬体よりなる人工血液, ii) チトクローム酸化酵素を模倣した酸素還元電極触媒よりなる燃料電池, iii) チトクロームP-450を模倣した合成触媒, iv) ペルオキシダーゼやカタラーゼを模倣したバイオセンシングシステム.v) クロロフィルを模倣した人工光合成系などについて概説する。
  • 緒方 嘉貴
    2001 年1 巻2 号 p. 139-146,225
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    輸血を代替する人工血液の開発研究は, 特に赤血球の酸素運搬能の人工的な代替を目的として開発が進んできた。赤血球のバイオミメティックテクノロジーとして, 赤血球と同等の優れた酸素輸送機能を有する人工酸素運搬体を得るために, リン脂質, コレステロールの分子間相互作用を利用し, 高濃度精製ヒトヘモグロビンを2分子膜小胞体リボソームでカプセル化した, ヘモグロビン小胞体 (Neo Red Cell) を開発した。その機能設計として, Inositol hexaphosphateをアロステリックエフェクターとして用い, 酸素親和性 (P50) を40~50torrと低下させることにより, 30~50%程度の酸素吸入下において人赤血球に比較して, g-ヘモグロビン当たりの酸素運搬量を2倍と, 高効率な酸素輸送特性を与えることが可能となった。さらに赤血球の糖代謝系の酵素活性を維持したままストローマフリーヘモグロビンを精製し, 基質等と共にリボソームにカプセル化することで, 赤血球のメトヘモグロビン還元機能を模したシステムを, リボソーム中に構築することに成功した。
    今後, 人工酸素運搬体には, 血液代替から脳梗塞や心筋梗塞の治療を目的とした, 酸素輸液としての展開が考えられる。そこで機能設計として血液代替を目指した機能設計から, 治療目的とした機能設計への発展が必要となる。
  • 山元 公寿
    2001 年1 巻2 号 p. 147-156,226
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    酸素4電子還元反応は我々の生命を司る呼吸反応であり, 体内ではチトクローム酸化酵素 (呼吸酵素) がいとも簡単に常温常圧の温和な条件下, 中性雰囲気で酸素分子に4電子と4プロトンを受容させて水へ変換させている。この反応の再現は単に生命の機構解明に留まらず, 新機能材料創製のための新触媒にもつながる。しかしながら, 4電子還元系の構築手段が未だ曖昧である上, これを物質変換へ組み込むの方法が確立されていないのが現状である。近年ポルフィリンの多核錯体や高分子錯体を電極触媒として用いた酸素4電子還元系の達成した例が報告されている。物質変換系に持ち込み, 酸素原子が取り込まれることなく4電子還元により水を生成する反応により駆動する物質変換は, 近年, 簡便で大気開放系で実施できる省エネルギーでクリーンないわゆる環境合致型の合成反応として注目されるようになってきた。
  • 川上 浩良
    2001 年1 巻2 号 p. 157-165,226
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    生体内で生成されるフリーラジカル (O2・-, H2O2, ・OH, NO, ONOO-) は、炎症疾患、神経疾患、動脈硬化、癌、糖尿病、虚血再灌流障害など多くの病態に関与することが指摘されている。また、現在の細胞生物学での最大のテーマである細胞死にもフリーラジカルのレドックス (酸化還元) 反応が深く関与していることが明らかになっている。 これら生体内で生成する複雑なフリーラジカル反応による細胞・組織・臓器障害を防ぐには、多様なラジカル種 (O2・-, H2O2,.OH, NO, ONOO-) を迅速かつ階層別に消去 (還元) する新しい抗酸化剤を分子レベルから設計しラジカル発生部位に輸送するシステムを構築する必要がある。
    一方、細胞死、特にアポトーシスをフリーラジカルにより誘導できることも明らかにされている。もしSOD活性を有する抗酸化剤を癌細胞内に導入、癌細胞内のO2をH2O2へ変換できれば、H2O2を介した新しい細胞死の誘導が可能と考えられる。
    我々はカチオン性金属ポルフィリン錯体が良好なSOD活性を示すことを報告してきたが、さらに癌細胞内O2・-をSODミメティック金属ポルフィリンによりH2O2へ還元することにより新しい抗癌剤の設計も可能であることを提案してきた。本稿では、生体内フリーラジカルを制御する金属ポフィリンによる新しい抗酸化剤、抗癌剤の可能性について紹介する。
  • 金子 正夫
    2001 年1 巻2 号 p. 167-177,226
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    光合成ミメティックスとしての光化学エネルギー変換系について, ポルフィリンとフタロシアニン類縁体を用いた系に焦点を当て, 解説した。可能な人工光合成系を説明し, これを実現するための, 光捕集と電荷分離, 水の酸化触媒, プロトン/二酸化炭素の還元触媒, 電荷移動系について, ポルフィリンとフタロシアニン類縁体を用いた研究を主に取り上げ, 今後のシステム化も含めて述べた。
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