抄録
512.6Kの臨界温度と809MPaの臨界圧力を越えた超臨界メタノールは, 将来の化学反応プロセスにおける有望な溶媒である。この流体は温度と圧力を操作することにより, 従来の液体溶媒よりもずっと広範囲かつ連続的に溶媒物性を変えることが出来ると共に, 溶媒和構造を容易に制御可能なので, 高い反応速度と反応選択性を同時に実現することが可能である。
今回の総説では, 亜臨界~超臨界メタノールのミクロな溶媒物性の温度および圧力依存性, 溶媒物性と反応性の関係について簡単に説明し, その後, 超臨界メタノールを用いる高選択的で触媒不要の芳香環のメチル化, N-メチル化, O-メチル化, ケトンからのアセタール合成について説明する。