オレオサイエンス
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学会賞等受賞論文
天然両親媒性物質が形成するコロイド次元分子集合体の調製とその応用に関する研究
井村 知弘
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2010 年 10 巻 12 号 p. 461-470

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抄録
自然界に豊富に存在する “水” や超臨界状態の “二酸化炭素” 中における各種コロイド次元分子集合体の調製とその応用に関する研究に取り組んだ。その結果, 植物油などの再生可能資源から, 微生物によって量産される糖脂質は, 低濃度から優れた界面活性を示すばかりでなく, スポンジ相 (L3), 両連続逆キュービック相 (V2), ラメラ相 (Lα) など多彩な分子集合体を形成することが分かった。また, 糖脂質が自己集合することによって発現する保湿効果や特異な抗体結合能を活かした化粧品や医療デバイス分野への応用を開拓した。さらに界面の存在しない超臨界二酸化炭素 (scCO2) 中にリン脂質の界面を構築することによって, 有害な有機溶媒を使用せずに, 一段階で高効率リボソームを製造する手法を開発した。こうした高圧製造技術を用いることによって, 秋ウコンに含まれるクルクミン等の有効成分を高効率で内包したリボソームの調製に成功し, リボソーム技術の食品分野への新しい用途展開を可能にした。
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© 2010 公益社団法人 日本油化学会
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