オレオサイエンス
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10 巻, 12 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
学会賞等受賞論文
  • 原 節子
    2010 年10 巻12 号 p. 453-460
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    本研究においては貴重な天然資源である油脂の品質管理と有効利用を目指して下記の検討を行った!まず, 「油脂の品質管理のための各種分析法の開発に関する研究」では油脂の酸化劣化を正確かつ簡便に把握することを目的とした電位差滴定法による過酸化脂質微量定量法の開発が挙げられる。この測定法は, 当初は血清脂質中のヒドロペルオキシド量の微量定量法として開発されたが, 過酸化物価の測定溶媒が環境問題に配慮して非塩素系溶媒に変換されるに伴い, 電位差適定法は終点判定の正確さと着色試料へ応用可能であることなどの利点から, 『基準油脂分析試験法』に登録され, 現在, 各方面で利用されている。
    次に「油脂の酸化挙動の解明と酸化防止法の開発に関する研究」では油脂の利用において常に問題となる酸化劣化について各種脂質の酸化挙動を明らかにするとともに, それらの酸化防止について種々の天然化合物の酸化防止能の有効利用を基本として検討した。その結果, ホスファチジルエタノールアミンや天然ポリアミンがトコフェロールに対して優れた酸化防止相乗効果を示すこと, また, ロイボスティ抽出物, 茶抽出物などの各種ポリフェノール化合物は特に油脂の加熱劣化防止に対して有効であることなどを明らかにした。
    最後に「天然油脂・油糧資源の有効活用法の開発に関する研究」では, 各種天然油脂にn-3系高度不飽和脂肪酸, 共役不飽和脂肪酸 中鎖・短鎖脂肪酸などの機能性脂肪酸を酵素的アシル基変換反応により導入して機能性油脂を調製する条件を明らかにした。また, 米脱臭スカムからの超臨界流体クロマトグラフィーを用いたスクアレンとフィトステロールの分画など, 各種未利用油糧物質から機能性化合物を分画・濃縮する方法を開発した。
  • 井村 知弘
    2010 年10 巻12 号 p. 461-470
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    自然界に豊富に存在する “水” や超臨界状態の “二酸化炭素” 中における各種コロイド次元分子集合体の調製とその応用に関する研究に取り組んだ。その結果, 植物油などの再生可能資源から, 微生物によって量産される糖脂質は, 低濃度から優れた界面活性を示すばかりでなく, スポンジ相 (L3), 両連続逆キュービック相 (V2), ラメラ相 (Lα) など多彩な分子集合体を形成することが分かった。また, 糖脂質が自己集合することによって発現する保湿効果や特異な抗体結合能を活かした化粧品や医療デバイス分野への応用を開拓した。さらに界面の存在しない超臨界二酸化炭素 (scCO2) 中にリン脂質の界面を構築することによって, 有害な有機溶媒を使用せずに, 一段階で高効率リボソームを製造する手法を開発した。こうした高圧製造技術を用いることによって, 秋ウコンに含まれるクルクミン等の有効成分を高効率で内包したリボソームの調製に成功し, リボソーム技術の食品分野への新しい用途展開を可能にした。
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