オレオサイエンス
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特集総説
高度なESR技法を用いた脂質構造とダイナミクスの研究
中川 公一
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2010 年 10 巻 4 号 p. 133-139

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抄録
高度な技法を用いたESR (電子スピン共鳴) とスロータンブリングシミュレーション法で, ポリオキシエチレン硬化ひまし油 (HCO) の水分散系での構造とダイナミクスについて研究した。さまざまなスピンプローブを用いて物理化学量 (構造性オーダーパラメータやスピン格子緩和時間など) を決定した。HCO膜に取り込まれたスピンプローブの温度変化による膜内の分子運動に関して, 詳細な知見が得られた。 さらに, 高度なESR技法をヒト皮膚角層脂質の構造性の決定に応用した。 ESRは, 角層のダイナミクスや構造性を明らかにするうえで適している技法である。今回, スロータンブリングシミュレーション法を用いることで皮膚角層脂質の深さ方向での構造依存性を見出すことができた。したがって, このような高度なESR技法は, 実際の皮膚角層に関して理解できうる有益な知見を提供してくれる分光法である。
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© 2010 公益社団法人 日本油化学会
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