オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
10 巻, 4 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
特集総説
  • 黒田 章裕
    2010 年 10 巻 4 号 p. 127-132
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    撥水性のナノ粒子とシリコーンレジン, またはアマニ油からなるコーティング剤を開発した。疎水性のナノ粒子を80質量%含むコーティング剤は, 高い擾水性を示した。このコーティング剤で形成された塗膜表面の形状を, 走査型電子顕微鏡, 表面凹凸測定装置にて分析したところ, その表面に凹凸構造が確認できなかった。従来, 高擾水性の獲得には, 擾水性の微細凹凸構造が必要と考えられてきたことから, 凹凸構造を持たずに高擾水性を示すこの表面は, 大変ユニークな特性を持っているといえる。ついでこのコーティング剤を, ひずみゲージ用のコーティング剤としての応用の可能性について検討を行った。そして, 屋外暴露試験下で大変優れた性能が示された。この高い撲水性を示すコーティング剤を塗工した材料を焼成すると, 高い親水性を示すようになった。近年, 高い親水性を持つ表面は, 防汚性を示す可能性があり, 強い興味が持たれていた。そこで, この高い親水性の材料の2年以上にわたる屋外暴露試験を行った。その結果, 2年以上の期間, 高い親水性は保持されていた。しかしながら, 防汚性は, 塗膜内部に灰色の汚染が発生したため, 維持できなかった。
  • 中川 公一
    2010 年 10 巻 4 号 p. 133-139
    発行日: 2010/04/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    高度な技法を用いたESR (電子スピン共鳴) とスロータンブリングシミュレーション法で, ポリオキシエチレン硬化ひまし油 (HCO) の水分散系での構造とダイナミクスについて研究した。さまざまなスピンプローブを用いて物理化学量 (構造性オーダーパラメータやスピン格子緩和時間など) を決定した。HCO膜に取り込まれたスピンプローブの温度変化による膜内の分子運動に関して, 詳細な知見が得られた。 さらに, 高度なESR技法をヒト皮膚角層脂質の構造性の決定に応用した。 ESRは, 角層のダイナミクスや構造性を明らかにするうえで適している技法である。今回, スロータンブリングシミュレーション法を用いることで皮膚角層脂質の深さ方向での構造依存性を見出すことができた。したがって, このような高度なESR技法は, 実際の皮膚角層に関して理解できうる有益な知見を提供してくれる分光法である。
feedback
Top