抄録
われわれは, 毛皮・木などの生体由来の物質の手触りの特徴は, 温かくてさらさらしていてツルッルしていないことであることを明らかにした。これらの触感は触対象の熱物性, 表面エネルギーおよび表面粗さによって支配されていた。多変量解析の結果から, これらの三つの支配因子のなかで表面粗さが最も重要であることがわかった。また, 被験者が毛皮や木に触れると, 好感や快適感が喚起された。これらの知見は, さまざまな工業製品を開発するうえで有用なだけでなく, ヒトが生物を認知するメカニズムを理解するうえでも重要である。