オレオサイエンス
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特集総説論文
表面設計による付着制御とバイオマテリアルへの応用
岩﨑 泰彦
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2012 年 12 巻 11 号 p. 551-558

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抄録
医療分野で使用されるマテリアルにファウリング(非特異的な生体物質の付着や細胞の粘着)が起きない表面を付与することは極めて重要である。ファウリングは,マテリアル本来の機能を低下させるだけでなく,血栓形成,感染,炎症など細胞レベルの生体反応を誘起する。ファウリングを抑制するための表面制御に関しては,これまで種々の提案がなされているが,最も優れた方法のひとつとして細胞膜の表面に倣った設計が挙げられる。生体膜を構成するリン脂質と同じ構造をもつ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)は,マテリアル表面に生体膜類似構造を構築することを可能にする。近年,MPCを一成分とする様々なポリマーが合成され,MPCポリマーによるマテリアル表面の改質法も多様化している。本稿では,MPCポリマーによる表面設計とその特徴を述べるとともに,MPCポリマーが応用され実用化に至ったメディカルデバイスについても紹介する。
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© 2012 公益社団法人 日本油化学会
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