オレオサイエンス
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特集総説論文
機能性界面制御剤という物質概念のもとでの乳化物調製
酒井 健一阿部 正彦坂本 一民
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2012 年 12 巻 8 号 p. 321-325

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抄録
互いに混ざり合わない二つの相が接すると,そこには界面が生じる。液体が関与する界面の性質は両親媒性物質(界面活性剤)の存在により変化させられるが,通常,界面活性剤は分子溶解する溶液(連続)相と界面吸着相とに分配されるがゆえに,界面状態の制御に直接関与できる分子数はその添加量に比べて減少する。低炭素化社会の実現という観点からすると,添加量に対する有効量の低減は大いなる課題である。 そこで筆者らは,機能性界面制御剤(Active Interfacial Modifier, AIM)と称する新たな物質概念を提唱している。AIMは通常の界面活性剤(あるいは乳化剤)と異なり,共存する二相にそれぞれ親和性を有するが,いずれの相にも実質的に分子溶解することはないという物質の総称である。すなわち,AIMは互いに混ざり合わない二相の界面に独立した第三相を形成し,望まれる界面制御を最大効率(必要最少量)で実現する両親媒性物質といえる。本稿ではシリコーン系両親媒性高分子材料による乳化を例に,AIMと名付けた物質概念を紹介する。
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© 2012 公益社団法人 日本油化学会
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