オレオサイエンス
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12 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集総説論文
  • 鈴木 敏幸
    2012 年12 巻8 号 p. 311-319
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/04
    ジャーナル フリー
    乳化の基礎として,エマルションの生成と乳化剤の選択および相図を用いた乳化プロセスの解析と分子集合体を用いた微細なエマルションの調製について解説を行った。 エマルションは熱力学的に不安定な系であるため,その状態は調製プロセスによって大きく異なる。 最適な乳化条件は,油/水/界面活性剤からなる3成分系の相図を用いることにより解析できる。 乳化の過程において,液晶や界面活性剤相(D相)などの分子の無限会合体形成領域を経由させると,油/水界面張力が著しく低下するため,微細な乳化粒子が生成する。従って乳化の初期段階で液晶やD相を連続相として用いる乳化法が開発され,実用系でも応用されている。 こうした現状を基に,エマルションの今後の潮流に関しても考察を行った。
  • 酒井 健一, 阿部 正彦, 坂本 一民
    2012 年12 巻8 号 p. 321-325
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/04
    ジャーナル フリー
    互いに混ざり合わない二つの相が接すると,そこには界面が生じる。液体が関与する界面の性質は両親媒性物質(界面活性剤)の存在により変化させられるが,通常,界面活性剤は分子溶解する溶液(連続)相と界面吸着相とに分配されるがゆえに,界面状態の制御に直接関与できる分子数はその添加量に比べて減少する。低炭素化社会の実現という観点からすると,添加量に対する有効量の低減は大いなる課題である。 そこで筆者らは,機能性界面制御剤(Active Interfacial Modifier, AIM)と称する新たな物質概念を提唱している。AIMは通常の界面活性剤(あるいは乳化剤)と異なり,共存する二相にそれぞれ親和性を有するが,いずれの相にも実質的に分子溶解することはないという物質の総称である。すなわち,AIMは互いに混ざり合わない二相の界面に独立した第三相を形成し,望まれる界面制御を最大効率(必要最少量)で実現する両親媒性物質といえる。本稿ではシリコーン系両親媒性高分子材料による乳化を例に,AIMと名付けた物質概念を紹介する。
  • 後藤 雅宏
    2012 年12 巻8 号 p. 327-331
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/04
    ジャーナル フリー
    薬物を皮膚から吸収させる経皮薬物吸収システムは,患者のQOL(Quality of Life)を向上させる投与法として最近注目を集めている。しかしながら,皮膚の表面を覆う角層は,外的から身を守るために非常に大きな防御機能を有しており,この性質が,薬物を皮膚から吸収させる場合に大きな障壁となる。 一方で,角層は疎水性を有しているため水溶性の物質より油溶性の物質を通しやすい性質がある。よって,油状の基剤に様々な薬物を可溶化させることができれば,皮膚への浸透性は向上すると考えられる。本研究では,W/Oエマルションを用いて薬物をナノコーティングし,油状基剤にナノ分散化するS/O®技術を紹介する。この手法を利用することによって,タンパク質製剤などの経皮吸収性が促進されることが明らかとなった。
  • 秋山 恵里
    2012 年12 巻8 号 p. 333-338
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/04
    ジャーナル フリー
    近年,油脂産業において両親媒性ポリマーを用いたエマルション技術が実用されるようになった。両親媒性ポリマーを用いることによりエマルションが安定化され,低分子界面活性剤の使用量を減らすことが可能になっている。両親媒性ポリマーは油/水界面への吸着や,会合増粘の機構によってエマルションを安定化している。本稿では,主に化粧料分野における様々な種類のポリマー乳化安定化剤と乳化機構についてまとめ,新規水溶性両親媒多糖HHM-HECの研究例について述べる。HHM-HECは水中で疎水基の会合によるゲルを形成し,会合増粘機構によってO/W型エマルションを安定化した。
  • 笹井 愛子, 松﨑 香織, 辻本 広行, 三羽 信比古, 山本 浩充, 川島 嘉明
    2012 年12 巻8 号 p. 339-345
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/04
    ジャーナル フリー
    筆者らは,川島ら1, 2)が考案したマランゴニ現象を利用した薬物封入PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)ナノ粒子作製技術を応用し,ドラッグデリバリーシステム(DDS,薬物送達システム)機能を有する医薬品・医療デバイスの受託研究や化粧品・育毛剤等の製造販売事業を行っている。本稿では,それらの研究開発成果の一端を紹介したい。
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