2013 年 13 巻 9 号 p. 429-434
L-アラビノースは,天然由来の五炭糖の一つで,とうもろこし,甜菜などの植物の細胞壁のヘミセルロースの構成成分として豊富に存在する。食品中には,遊離の状態で,味噌,醤油やウイスキーなどの発酵食品に少量ではあるが,含まれている。L-アラビノースは,糖質でありながら,小腸においてスクラーゼを阻害することで,砂糖摂取に伴う血糖値の上昇を抑制することが知られている。動物やヒトでの試験において,L-アラビノースを砂糖に対して2-3%添加することで,砂糖摂取後の血糖値上昇を約50%抑制することが報告されている。本稿では,L-アラビノースの生理機能について解説する。また,食品用途への応用として,食物繊維との配合による相乗効果について紹介する。