希少糖とは,自然界に存在量が少ない単糖とその誘導体として国際希少糖学会によって定義されており,近年酵素的な大量生産法も確立された。D-グルコースやD-フラクトースなどの大量にある糖はエネルギーとなるが,希少糖は代謝されにくく,様々な生理活性を示す点が特徴的である。本稿では希少糖の内で良く研究開発されているD-プシコース,D-アロース,D-タガトースの特徴を紹介した。D-プシコースはカロリーゼロの糖で,砂糖の70%程度の甘味度である。αグルコシダーゼの阻害作用とグルコキナーゼの核外移行促進作用によって食後血糖上昇抑制作用が,肝臓における脂肪合成酵素の阻害を1つの機序として内臓脂肪蓄積抑制作用が認められる。
D-アロースは,D-プシコースの異性体であり砂糖の80%程度の甘味度である。血圧上昇抑制や虚血後再灌流障害抑制作用,癌細胞増殖抑制作用などを示すが,細胞内での活性酸素の発生を抑制し,レドックス制御に関わることが機序の1つとして考えられている。D-タガトースは砂糖の90%程度の甘味度であり,エネルギーは2 kcal/gである。HDLコレステロールの上昇効果や,D-プシコースと同様の機序である食後血糖上昇抑制作用を示す。
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