2014 年 14 巻 5 号 p. 197-203
種々の粘土へのN-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)モノマーのインターカレーションおよび,いくつかの粘土鉱物とポリNIPAとの光重合によって得られるナノコンポジットの性質について解説する。モノマーのインターカレーションはNa-サポナイト,Na-モンモリロナイト,Na-ヘクトライトおよび,サポナイトをさまざまな陽イオンで交換したものに対して,固相-液相反応および固相-固相反応のいずれでも可能である。また,粘土とNIPAの混合溶液を光重合することでclay-poly(NIPA)(clay:サポナイト,ヘクトライト,フッ化ヘクトライト)のヒドロゲルが得られる。この方法で得られるゲルは,サポナイトを用いた場合には半透明で固く,フッ化ヘクトライトでは極めて透明性の高い柔らかいものとなる。 各ヒドロゲルのDSC測定では,いずれも昇温方向において体積相転移点で吸熱異常が見られる。一方,それぞれのゲルにおける膨潤特性は著しく相違しており,フッ化ヘクトライトコンポジットでは同量の粘土を含有するサポナイトコンポジットおよびヘクトライトコンポジットに比して2倍から4倍の水を含むことができる。また,サポナイトおよびヘクトライトコンポジットでは,ゲルの平衡含水量は粘土量の増加にともなって減少して行くが,フッ化ヘクトライトコンポジットでは粘土量と平衡含水量の間にはほとんど相関がみられない。