オレオサイエンス
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14 巻, 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
特集総説論文
  • 岡田 友彦
    2014 年14 巻5 号 p. 189-196
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    スメクタイト族粘土鉱物への有機陽イオンおよび有機分子のインターカレーションについて俯瞰する。スメクタイトの層間は,有機陽イオンの自己集合場として機能する興味深いナノ空間である。得られる特徴的な無機-有機ハイブリッドは,非イオン性の有機分子の吸着剤や色素担体,徐放剤などとして幅広い応用が検討されている。本稿では,形成するハイブリッドのナノ構造と材料としての機能・性能との関係について紹介する。

  • 石丸 臣一, 佐藤 佳那
    2014 年14 巻5 号 p. 197-203
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    種々の粘土へのN-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)モノマーのインターカレーションおよび,いくつかの粘土鉱物とポリNIPAとの光重合によって得られるナノコンポジットの性質について解説する。モノマーのインターカレーションはNa-サポナイト,Na-モンモリロナイト,Na-ヘクトライトおよび,サポナイトをさまざまな陽イオンで交換したものに対して,固相-液相反応および固相-固相反応のいずれでも可能である。また,粘土とNIPAの混合溶液を光重合することでclay-poly(NIPA)(clay:サポナイト,ヘクトライト,フッ化ヘクトライト)のヒドロゲルが得られる。この方法で得られるゲルは,サポナイトを用いた場合には半透明で固く,フッ化ヘクトライトでは極めて透明性の高い柔らかいものとなる。 各ヒドロゲルのDSC測定では,いずれも昇温方向において体積相転移点で吸熱異常が見られる。一方,それぞれのゲルにおける膨潤特性は著しく相違しており,フッ化ヘクトライトコンポジットでは同量の粘土を含有するサポナイトコンポジットおよびヘクトライトコンポジットに比して2倍から4倍の水を含むことができる。また,サポナイトおよびヘクトライトコンポジットでは,ゲルの平衡含水量は粘土量の増加にともなって減少して行くが,フッ化ヘクトライトコンポジットでは粘土量と平衡含水量の間にはほとんど相関がみられない。

  • 皆瀬 慎
    2014 年14 巻5 号 p. 205-211
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    有機ベントナイトは,モンモリロナイトの層表面を4級アンモニウムイオンと反応させた有機変性粘土である。この有機ベントナイトは,有機媒体中で膨潤・剥離分散することにより様々な機能を発揮し,多くの工業用途において利用されている。その多くは,粘性調整剤・沈降防止剤としたレオロジーコントロール剤としての利用であるが,最近では,機能性フィラー剤としても検討されている。本稿では,有機ベントナイトの特性,並びにレオロジーコントロール剤としての特徴,有機ベントナイトの分散方法について紹介し,新たな利用として期待されているナノコンポジット材料における機能性フィラー剤としての応用について述べる。

  • 藤村 卓也, 嶋田 哲也, 高木 慎介
    2014 年14 巻5 号 p. 213-218
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー

    粘土鉱物は,極めて多様な用途を有する汎用されている工業材料である。一方,学術的にも,原子レベルで平滑な界面を有する,密度可変な電荷分布を有するなど,極めて興味深い特徴を有している。 界面における,無機物と有機物の相互作用は普遍的に重要な研究課題と思われるが,粘土鉱物—機能性色素複合体はその好適な研究モデルであると考えられる。近年,我々は,静電相互作用と疎水性相互作用を利用することで,界面での機能性色素の吸着密度や吸着配向を操作しうることを見い出した。本稿では,粘土鉱物—ポルフィリン色素複合体に注目し,ポルフィリン色素の吸着状態についての概説を試みる。

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