2016 年 16 巻 7 号 p. 321-326
αゲルは外観上は全体が均一な白色ゲルであるが,α型水和結晶相と水相,場合によってはその他の結晶相が共存する多相共存系であることが多い。また,簡便な調製法として,構成成分を加熱融解し,均一化した後に冷却することで調製することが多く,プロセスによって性質が異なることもある。これらが開発現場においてαゲルの正確な理解を難しくしている理由になっている。本稿では,化粧品分野におけるαゲル研究の流れを紹介するとともに,これまで有効な方法の存在しなかった水相のキャラクタリゼーションについて,筆者らが行った研究を紹介する。