2019 年 19 巻 12 号 p. 489-496
3-MCPD脂肪酸エステル類(3-MCPDEs)とグリシドール脂肪酸エステル類(GEs)は,近年,食用油脂の精製工程で生成することが明らかとなった物質である。当時,これら物質を精度良く定量できる分析法はなかったため,各国で分析法の開発が進められてきた。弊社も原料油脂の安全性保証のため,分析法の開発を試みた。エステル型分析種の加水分解の手法としてリパーゼに着目して研究を進めた結果,迅速かつ簡便な酵素的間接分析法を確立することができた。食用油脂を対象とした分析法は,日本油化学会 基準油脂分析試験法に基準法2.4.14-2016及び奨7-2017として登録された。また,適用範囲を油脂含有食品に拡大した酵素的間接分析法を活用し,油脂を原料とした食品の加熱調理における3-MCPDEs,GEsの動態に関する研究にも取り組んだ。