2019 年 19 巻 12 号 p. 497-505
食用油脂の主成分であるトリアシルグリセロール(TAG)は,結合する脂肪酸の種類によって数多くの分子種が存在する。TAG分子種は油脂の栄養機能や物性に大きく影響を及ぼすことから,食用油脂中のTAG分子種組成を正確に把握することは,食品を研究・開発するうえで重要な課題である。そこで我々は,食用油脂中のTAG分子種組成をGC-FIDにて正確に測定するため,TAG標準品から求めた補正係数を用いる定量技術を確立した。また,これらの技術を応用し,乳脂肪の主要な香気成分であるラクトン類をGC-MSにて正確に測定する技術を確立した。