オレオサイエンス
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総合論文
リゾリン脂質の澱粉複合体形成
山下 政続
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2002 年 2 巻 3 号 p. 137-142,128

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抄録
リゾリン脂質は, 穀物種子の澱粉粒内で澱粉と複合体を形成している脂質の主成分である。穀物種子中の澱粉粒に含まれるリゾリン脂質, モノアシルグリセリン, 脂肪酸などの脂質は, その権成脂肪酸の二重結合の有無に関係なく, 水溶液においてアミロースおよび小麦澱粉や馬鈴薯澱粉と容易に複合体を形成した。不飽和脂肪酸のモノアシルグリセリンの澱粉複合体形成能について異なった報告が行われている。不飽和脂肪酸からなる多価アルコールのモノ脂肪酸エステルは, 飽和脂肪酸エステルと同様に澱粉と複合体を形成する。そして, その澱粉複合体形成能は二重結合の有無による構成脂肪酸の構造が重要でなく, 水溶液におけるそのミセル形成が重要な因子である。本稿では, 穀物澱粉に含まれるリゾリン脂質の澱粉複合体形成能, モノアシルグリセリンとリゾリン脂質を包接するに要するアミロース鎖長, リゾリン脂質の小麦澱粉の物性に与える影響とその食品への応用について解説した。
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© 2002 公益社団法人 日本油化学会
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