オレオサイエンス
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特集総説論文
SDGsの実現に向けた福島の未来
牛尾 典明
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2020 年 20 巻 10 号 p. 459-465

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抄録

「SDGsの実現に向けた福島の未来」を描いていくには福島第一原子力発電所(1F)の廃炉を遅滞なく進めていかなければならない。我々は,1F廃炉技術のひとつとして燃料デブリの再臨界防止を目的とした「非溶解性中性子吸収材」の開発を行った。ひも状ミセルの技術を応用することによって,中性子吸収材である炭化ホウ素を担持したスラリーを水中で模擬燃料デブリに展着させることが出来た。ひも状ミセルの耐放射線性について評価を行い,原子炉格納容器内における適用に可能性を見出している。中性子線の吸収能についても確認しており,本技術は燃料デブリの再臨界防止に効果を有することが期待される。福島の復興に対しては思いもかけない技術が必要とされてきており,今後,日本油化学会としても貢献できる技術があるものと考えている。

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© 2020 公益社団法人 日本油化学会
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