オレオサイエンス
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20 巻, 10 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
特集総説論文
  • 加茂 徹
    2020 年 20 巻 10 号 p. 451-458
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/07
    ジャーナル フリー

    プラスチックは素材として非常に優れていたため,20世紀後半から生産量は飛躍的に拡大し,世界で4億t以上が生産されている。感染症が蔓延する世界において,清潔な水や医療品を途上国や貧困な地域の人々に届けるため,安価で軽いプラスチックの担う役割は大きい。一方,不法投棄された廃プラスチックの一部は海洋に流出し,海洋生態系に深刻なダメージを与え,人間の健康へも影響を与える可能性が指摘された。廃プラスチックは,重要な環境問題の一つと見なされるようになった。

    廃プラスチックのリサイクルでは,対象物の品質と量を考慮し,マテリアルリサイクル,ケミカルリサイクル,エネルギー回収から最適な手法を選択することが望ましい。現在,プラスチックは主に化石資源から製造されているが,将来,再生可能資源が主な原料となる。新たに市場に投入される貴重な有機資源を最小化するため,廃プラスチックの循環利用を促進すべきである。SDGs が目指す世界では,価格や品質だけでなく,環境保全および生物多様性や人権への配慮などの社会倫理性が求められている。

  • 牛尾 典明
    2020 年 20 巻 10 号 p. 459-465
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/07
    ジャーナル フリー

    「SDGsの実現に向けた福島の未来」を描いていくには福島第一原子力発電所(1F)の廃炉を遅滞なく進めていかなければならない。我々は,1F廃炉技術のひとつとして燃料デブリの再臨界防止を目的とした「非溶解性中性子吸収材」の開発を行った。ひも状ミセルの技術を応用することによって,中性子吸収材である炭化ホウ素を担持したスラリーを水中で模擬燃料デブリに展着させることが出来た。ひも状ミセルの耐放射線性について評価を行い,原子炉格納容器内における適用に可能性を見出している。中性子線の吸収能についても確認しており,本技術は燃料デブリの再臨界防止に効果を有することが期待される。福島の復興に対しては思いもかけない技術が必要とされてきており,今後,日本油化学会としても貢献できる技術があるものと考えている。

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