2022 年 22 巻 10 号 p. 495-501
近年,プラスチックを循環式で活用する技術の開発が注目されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)は,食品用ボトルや繊維などとして現代社会で汎用されており,比較的リサイクル技術が進んだプラスチック材料である。しかし,原理的に同じ製品を繰り返し生産できるケミカルリサイクル法は,高消費エネルギープロセスであることが再生製品の価格上昇を招き,技術の普及を阻んでいた。本項では,まずこれまで先駆的に取り組まれてきたケミカルリサイクル技術を紹介し,プロセスの低消費エネルギー化に向けた最近の国内外の取り組みを中心として概説する。さらに,最近我々が開発した炭酸ジメチルを促進剤とする常温解重合法について解説する。