2022 年 22 巻 12 号 p. 605-611
核磁気共鳴として知られるNMR(Nuclear Magnetic Resonance)法(高分解能NMR)は水素原子をはじめとした核種の磁気モーメントを検出する主に構造解析を行う分析手法である。一方,時間領域核磁気共鳴と呼ばれるTDNMR(Time Domain NMR)法は緩和時間から物性評価を行う分析装置である。緩和時間は分子の運動性を反映し,その違いから水分,油分量の決定や,試料の固い,柔らかいなどを示す物性評価,W/O,O/Wエマルジョンの粒径分布や分散性などを評価することが可能である。本稿ではこの分析手法を用いて油脂を含む食品,化粧品,その他工業製品の状態解析を行った例について紹介する。