オレオサイエンス
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総説
牛乳と健康-乳脂肪構成成分の抗肥満作用等に関する最近の話題-
白井 展也荒木 理沙髙山 喜晴
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2023 年 23 巻 8 号 p. 439-445

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抄録

乳脂肪は乳固形分の主要な成分であり,乳中では乳脂肪皮膜(MFGM)と呼ばれる脂質粒子のエマルジョンを形成し安定化されている。MFGMに含まれる脂質の主要成分はトリグリセリドとリン脂質である。さらに,MFGMには脂質誘導体であるステロールやカロチノイドが含まれている。乳および乳製品は,タンパク質・カルシウム・脂溶性ビタミンの健康的な供給源として一般に認識されているものの,食生活指針の多くは心血管疾患(CVD)とりわけ冠動脈性心疾患(CHD)のリスクを減らすため,乳に多く含まれる飽和脂肪酸の摂取量を減らすことを奨励している。本稿では,動物実験やヒト試験を用いて,代謝機能障害やそれに由来する慢性疾患(CHDや2型糖尿病など)の発症に対する様々な乳脂肪成分摂取の効果を扱った近年の研究を紹介する。

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© 2023 公益社団法人 日本油化学会
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