2023 年 23 巻 9 号 p. 491-498
光トラップとレーザー干渉法を用いたマイクロレオロジー(MR)計測について解説する。生体試料は希少なことが多く,レオロジーの時空間スケール依存性も顕著であるためにMRが有効であるが,細胞のように揺らぎ(流動)が大きく,また,光によってダメージを受ける生体試料の計測は困難であった。私達は,プローブ粒子に加わる力とその位置をそれぞれfeedback制御するMR計測によって,生体試料を始めとするソフトマターの低侵襲かつ精密な力学計測を可能にした。本稿ではこの最新の手法について説明した後,計測例として細胞内部の線形粘弾性と外力誘起による細胞骨格の非線形揺らぎについて紹介する。